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◎弁護士コラム◎キャンセル料支払いの要否

2020年5月7日

お知らせ

 

はじめに

新型コロナウイルスの影響により、経済活動が停滞しています。

緊急事態宣言を受け、旅行や結婚式などのイベントを延期・中止にせざるを得ないことがあるでしょう。

そのような場合のキャンセル料の支払について、全国の消費者センターに問合せが増加しているようです。

 

キャンセル料が発生する場合とは

「キャンセル料」は、法的には債務不履行に基づく損害賠償請求と整理できます。

契約を一方的に破棄し、契約で定められた債務を履行しない場合には、相手方は、これによって被った損害の賠償を請求することができる、ということです。

契約の中であらかじめキャンセル料が定められているケースも多いでしょう(民法上は「損害賠償額の予定」〔民法420条1項〕です)。

 

債務不履行に基づく損害賠償について定める民法415条1項は、以下のように規定しています(契約日によっては改正前の民法が適用になることもあります)。

 

「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」

 

つまり、

①Aさん夫婦が結婚式をキャンセルした(=「債務の本旨に従った履行をしない」)として、

②そのキャンセルについてAさん夫婦に責任がない(=Aさんの「責めに帰することができない事由による」)場合は、

式場はキャンセル料を請求できないということです。

 

つまり、キャンセル料を払う必要があるかないか、というのは、新型コロナウイルスの蔓延を理由にするキャンセルが、Aさん夫婦の「責めに帰することができない事由による」といえるかどうか、によって変わるということになります。

 

法的評価の問題

ここからは法的評価の問題になりますが、一概に結論を決めることはできないでしょう。

結婚式の規模、予定されていた出席者の数、当該都道府県における新型コロナウイルスの状況、契約時のやり取りなどを総合的に考慮した上で、判断する必要があります。

コロナだから」の一言だけで、キャンセル料を支払わなくてよいということにはならないでしょう。

 

また、キャンセル料を支払うとしてもいくら支払うのか、という問題もあります。

事前にキャンセル料が定められていたとしても、消費者契約法9条1号によれば、損害賠償の額を予定する条項がある場合でも、その金額が「……当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える」場合には、その超える部分は無効であると規定しています。

キャンセル料については、最大でも事業者に生じうる「平均的な損害の額」が限度になります。

 

キャンセルするかどうか迷っている場合、キャンセル料の請求を受けた場合には、まずは契約書をよく読んでみることが大切です。

 ~高崎事務所 所長 下山田 聖

 

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