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【弁護士が解説】オンラインカジノの違法性について

2025年5月1日

コラム

オンラインカジノの違法性について


オンラインカジノの利用は違法なのかという疑問は数多くあります。

本記事では弁護士の視点を交えながら、オンラインカジノの刑法上の位置づけ等を整理して解説します。

この記事を執筆した弁護士

弁護士 下山田 聖

下山田 聖(しもやまだ さとし)

弁護士法人一新総合法律事務所 
理事/高崎事務所長/弁護士

出身地:福島県いわき市 
出身大学:一橋大学法科大学院修了

主な取扱分野は、企業法務(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)、交通事故、金銭問題等。そのほか離婚、相続などあらゆる分野に精通しています。
社会保険労務士を対象とした労務問題解説セミナーの講師を務めた実績があります。

オンラインカジノはなぜ違法なのか?


刑法第185条は、「賭博をした者は、50万円以下の罰金または科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない。」と規定しています。

ここにいう「賭博」とは、偶然性に基づき財物の得喪を争う行為とされています。

また、金銭は、その金額の多寡を問わず、「一時の娯楽に供する物」には当たらないとされています。


日本の刑法が適用されるのは、「日本国内において罪を犯した者」(刑法1条1項)です。

そして、ここにいう「日本国内」とは、犯罪行為又は犯罪結果のいずれかが日本国内において発生すればよいとされています。

そのため、海外サーバーに日本国内からアクセスする形で賭博を行った場合、日本国内において賭博「行為」がなされたものとして、日本の刑法が適用されます。

本当に「グレーゾーン」なのか


日本以外の国では、オンラインカジノを合法としている国もあります。

そのため、そのような海外の合法地域にサーバーが設置されている場合、オンラインカジノの利用が、「(当該)海外では合法となる一方、日本では違法となる」ということもあり得ます。

このような事情から、オンラインカジノの利用につき、日本国内では明確な違法と断定しにくい「グレーゾーン」だという表現を耳にすることがあります。

しかし、刑法上は、上述のとおり、日本国内から利用した時点で、賭博行為そのものを日本国内でを行っていたものと評価される可能性が高く、安易に「グレーゾーンだから大丈夫」と考えるのは危険です。

日本で認められているギャンブル


日本では公営競技である競馬や競輪、競艇などのほか、宝くじやスポーツ振興くじ等が、特別法によって合法な賭博として認められています。

これらは国や自治体が運営・管理しているため、利用者が安心して参加できる仕組みが整備されています。

一方、オンラインカジノは民間の事業者が運営しているものであり、特別法においても合法と認められているわけではありません。

オンラインカジノ利用における刑事罰以外のリスク


オンラインカジノは刑法上の賭博罪に該当することは上述のとおりですが、民事上も金銭トラブルが発生しやすい環境にあります。


金銭トラブルの面でも、勝ったはずの賞金が正しく支払われない、あるいは突然アカウントを凍結されるといったことが発生し得ます。

違法性の高いサービスほどその運営姿勢は不透明な傾向が強いため、トラブル回避が困難になるリスクを伴います。

現実の摘発事例


2016年の摘発事例では、オンラインカジノの運営者だけではなく、オンラインカジノにアクセスしていた利用者も賭博罪に該当しうるものとして捜査機関の事情聴取を受けました。


このケースが示すように、オンラインカジノにおいては、運営者及び利用者の双方が形而上の責任を問われうるリスクを負います。

刑事責任以外にも、過去には、高額配当金未払いトラブルや利用者情報の流出など、刑法犯以外の諸問題が確認されています。


また、2025年に入り、オンラインカジノを利用していたことが発覚し、著名人が活動自粛をするなどの報道が相次いでおり、大きなニュースとなっています。


これまでオンラインカジノを利用していた著名人は、捜査機関による任意の事情聴取を受け、

「大学時代の友人に誘われたから」

「周りの人もやっているから」

「有名人が広告に出演しているので違法だとは思わなかったから」


との安易な気持ちで利用を始めてしまった、と述べているケースもあります。


実際には、広告を出しているのは金銭ではなくポイントを利用する形でのオンラインカジノであったようですが、いずれにしても、適法・違法の明確なラインが分かりにくく、安易に利用できる環境にあることも、問題視されるべき事象です。

海外との取扱いの差異


海外の一部地域ではギャンブル産業を国家の収入源と捉え、政府公認のライセンスシステムを整えている国があります。

こうした国ではオンラインカジノも合法とされ、適切な規制のもとで運営者・利用者ともに保護される体制が整えられています。


一方、日本ではギャンブル依存症やマネーロンダリングの問題を重視し、合法化に慎重な姿勢をとっています。

日本国内においても、カジノ施設の設置を含む統合型リゾート整備推進法が注目を集め、特定複合観光施設(IR)の開発計画が進められてはいます。

しかし、オンラインカジノの合法化は社会的な影響が大きく、運営者の監視監督や資金の流れの透明化等のための制度を構築する必要が生じることから、将来的な法整備・合法化が進むかどうかは不透明な状況です。

まとめ


以上で述べたように、オンラインカジノの利用は、海外サーバーを経由したものであっても明確に「違法」であり、賭博罪が成立します。

また、利用について常習性が認められれば、常習賭博罪として、より重い罪が成立することとなります。

安易な気持ちで利用すると、刑事責任を追及される可能性のある事柄ですから、絶対に利用しないという強い気持ちを持つことが、自分の身を守ることにつながります。


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