解決事例

当事務所の解決事例の一部をご紹介します。

内定取消しを理由に損害賠償請求をした事例

2023年7月12日

その他の問題

<事件の概要>

内定をもらった後、勤務開始予定日の前日に内定取消しと言われてしまった。

どうしたらよいか。

<相談後>

弁護士が代理人として就任後、相手方会社の代理人と交渉し、約50万円(3ヶ月分給与相当額)の支払を受けることで解決することができた。

<弁護士コメント>

新卒採用、中途採用を問わず、入社するまでには、何回かの面接を得て「内定」が出され、それに基づいて具体的な勤務開始日が決まり、その日から勤務をするという流れが一般的です。

他方で、本件のように、一度出た「内定」が会社側の都合で取り消されてしまうこともあります。

取り消された本人としては、勤務開始日からそこで勤務をし、収入を得る前提でいるわけですから、生活に大きな影響があります。


「内定」通知の送付の時点で、法的には、「採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立した」ものと解されています(最二小判昭和54年7月20日民衆33巻5号582頁)。

「採用内定取消事由」とは、「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」(上記判例)とされていますので、内定通知を出した会社だからといって、その内定を自由に取り消すことはできません。 


「内定」を出した時点で、解約権を留保しているとはいえ労働契約が成立しているわけですから、これを一方的に解消することはできず、仮に解消するとなれば、内定者に発生した損害を賠償する義務が生じます。

本件では、上記の法的構成をもとに会社に対して損害賠償請求をし、給与3か月分に相当する金額にて、示談をすることができました。

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