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2025年1月7日
コラム
毎年1月の2日と3日に開催される東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)ですが、そのコースの大部分は国道一号線が占めています。
当然、公道で行われる競技ですから、大会の実施に当たっては、道路交通法の規程に従い、道路使用許可を得る必要があります。
道路交通法77条1項4号は、「……道路において……一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為……で、公安委員会が、その道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要を認めて定めたものをしようとする者」は、道路を使用するに当たって、「……当該行為に係る場所を管轄する警察署長(略。)の許可」を受けなければならない、と規定しています。
また、警察庁交通局交通規制課長の「路上競技に伴う道路使用許可の取扱いについて」という通達(警察庁丁規発第46号)において、上記道路使用許可の判断にあたっては、①路上競技の目的、②地域住民、道路利用者等の合意形成、③地方公共団体の関与、④使用する道路及び交通の状況、⑤競技の内容、実施方法等、⑥実施主体の講じる措置、のそれぞれを考慮すべき、とされています。
なお、上記通達中「路上競技」とは、「マラソン、駅伝、自転車ロードレース、トライアスロン競技等(カーレース及びラリーを除く。)」とされていますので、基本的には人間が自力で走行する競技が念頭に置かれています。
箱根駅伝は関東学生陸上競技連盟(関東学連)が主催しています(ですので、扱いとしてはあくまで「関東」大会であり「全国」大会ではありません。)ので、関東学連が上記の使用許可を取得し、実際に競技が行われているということになります。
箱根駅伝の実施に当たり、首位から一定の差(往路鶴見中継所・戸塚中継所では10分、平塚中継所・小田原中継所では15分、復路はすべての中継所で20分)がつくと、繰上げスタートが実施され、各チームがそれまで繋いできたタスキがそこで途切れることとなります。
現実には、復路戸塚中継所(8区から9区への中継)と鶴見中継所(9区から10区への中継)において繰上げスタートとされる例が多く、特に前走者が中継所に迫っているにもかかわらず繰上げスタートの号砲が鳴る瞬間は、観戦者の涙を誘います。
また、往路の首位チームのゴールから10分差以上がついたチームは、翌3日の復路が、現実のタイム差ではなく、首位チームのスタートから10分後の一斉スタートとなります。
一斉スタートとなったチームは、往路での見かけの順位と実際の順位が異なることになりますので、観戦者からすると分かりにくくなったりもします。
昨今の箱根駅伝は高速化が進み、特に予選会を通過して本戦に出場した大学は厳しい戦いを強いられることが多くなってきています。
見ている側からするとなんとも不都合な時間制限ですが、道路使用許可を取得して実施されている以上、時間に制約なく使用するというわけにもいかず、やむを得ないものと納得しています。
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